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2023.02.10
MAX PITTION フランスのレジェンドブランド再始動

MAX PITTION フランスのレジェンドブランドが再始動

アイウェア黎明期を支えたフランスのレジェンドブランド、MAX PITTIONが再始動しました。
長らく活動再開が期待されていましたが、往年のアーカイブを忠実に甦らせるというスタイルでこのたび満を持しての再登場になります。
手がけるのはタミー・オガラ氏が代表を務めるアイウェアカンパニーThe LIGHTと日本の職人チームです。

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彼らの眼鏡工場が福井県鯖江市にあります。
四方を山に囲まれた盆地に位置するこの土地は100年以上続く眼鏡づくりの町として有名で、とりわけ良質なアイウェアを生産してきた実績は世界が知るところです。
Made in Japan, Made in Sabaeはアイウェアにおける一つのステータスであり、品質を保証する厳然たる刻印になるのです。
The LIGHTは福井から廃園になった保育園を買い受け、そこに同社にとって2つ目の工場を2022年に建てました。
このプロジェクトにかけるタミー・オガラの固い決意を見ることができます。

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フランスのヴィンテージデザインを日本の職人たちの手によって復刻するにあたり、The LIGHTは様々なアプローチを見せています。
当時の色味を忠実に再現するために黒以外はタキロン社に別注をかけた特製のアセテート生地を用意。
ベッコウ色に至ってはコストのかかるプレス製法で成型されています。
そして、然るべき空調管理の元、一定期間寝かせたアセテート生地はタキロン製の強みである硬さ、縮みにくさ、ねじれにくさをより強固にしていきます。

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アイウェアにとって磨きはとても重要な工程の一つです。
バレルと呼ばれる樽型の機械に大量のウッドチップや研磨剤と共に削り出されたフレームを入れ、何時間もガラガラと回転をさせることによって磨いていく通称「ガラ入れ」という作業。
研磨剤の種類や量、回転させる時間(場合によっては何日も)や速さ、気温条件などはいかに磨き上げれるかを左右する大事な要素で、門外不出の秘伝のレシピとも言われています。
通常、バレルは軸に沿って水平に設置され回転していますが、タミー・オガラは水平の軸に対して斜めに据えられた特製のバレルを開発しました。
これによってねじれ回転が生まれ、中のウッドチップはうねるようにフレームと効率的に擦れていきます。
この「スパイラルガラ」工程ののち、荒さの違うガラ入れを3段階行い、職人たちがこれも荒さの違うバフ磨き作業を3段階行ってフレームは磨かれていくのです。

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空気圧で芯金をテンプルに撃ち込むシューティングという作業があります。
MAX PITTIONのテンプル形状はシューティングの作業難易度が高いため、
通常右と左それぞれ別の形状で製造されるテンプルを左右分けずにまずは製造し、シューティングを終えたのちに内側の面などをスカイビング加工して左右を振り分けるという工程をとっています。
そのため、左右どちらのテンプルとしても使えるように芯金のデザインには表裏がありません。

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眼鏡を生産する上で欠かせないのが金型や治具(ジグ)と呼ばれるものです。
ブリッジの盛り上がりをプレス機で作るための金型、シューティングや蝶番を埋め込む際にフレームを固定するジグなど、
眼鏡を一枚の板から削り出していく工程全てで使われています。
当然、眼鏡のデザインは一つではありませんので、それぞれの眼鏡のそれぞれの工程に膨大な数の金型やジグが必要になってくるのです。

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MAX PITTIONのフロントとテンプルの特徴的な噛み合わせは当時の作りを忠実に再現したものです。
XYにZ軸を加えたフロントとテンプルの3次元的な繋がり方を再現するには二人がかりで噛み合わせを微調整しながらそれぞれの設置面を斜めにフライス加工していきます。
当然、間にある蝶番パーツを埋め込む際にも注意は必要で、熱したパーツを適切な位置に、適切な速度で、適切な深さまで埋め込んでいきます。
つい見逃しがちなこうした細部にこそ職人の技術と感性が宿るものです。
アイウェアはオートマティックに生産される工業製品とは違う昔ながらのハンドメイド品であることを忘れてはいけません。

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The LIGHTの工場エントランスには保育園の名残を感じさせる広いラウンジルームがあります。
作られた製品の最終的なクリーニングや検品を行う場所であると同時に、職人たちが休憩するチルスペースでもあります。
パシフィックファーニチャーで揃えたインテリアとヴィンテージの音響設備が部屋に良いバイブスを生んでおり、ゆくゆくはビリヤード台も設置する予定とのことで、
新たな眼鏡工場の在り方を感じさせる空間となっています。
一方で、生産過程で発生するダストを吸い込む巨大な集塵機や、その集塵機に対する防音壁、パイプを張り巡らせたコンプレッサーなど、工場としての設備投資にも余念がありません。

MAX PITTION

フランスにおける優良な眼鏡の産地ジュラ地方オヨナでかつて作られていたMAX PITTIONは、鯖江にその生産地を移し、タミー・オガラの指揮の下、The LIGHTの新たな工場と腕利きの職人たちの手によって再び日の目を見ることになるのです。